おやきって何?
「おやき」は信州の郷土料理のひとつです。
小麦粉の皮で野菜などの具を包んだ、おまんじゅうのようなもの。
「焼き餅」とも呼ばれています。
山に囲まれ、雪の多い信州では、かつては稲作の収量がなかなか伸びず、お米の代用品として、そばや小麦が栽培されてきました。
「おそば」と共に小麦粉の「おやき」も毎日の食事やおやつとして家庭でつくられ、信州独自のいわゆる「粉もの」食文化が育まれてきたのです。
しかし、ひとくちに「おやき」と言っても、家庭の味をルーツにするだけあって、そのバリエーションは地域によって千差万別です。
あえて基本を定義するとすれば…まず、小麦粉やそば粉を水で溶いて練り、それを薄く延ばした皮を使っていること。次に、その皮で野菜や小豆などでつくられたアン(具)が包まれていること。さらに、これを蒸したり、焼いたりして、仕上げられていること。いずれのおやきも、かたちは丸くシンプルですが、調理法は奥ふかい。信州ならではの野沢菜やナス、きのこなどを入れたり、素朴な味わいが魅力の伝統料理です。
信州の食といえば、全国的には数年前まで「おそば」が有名で、「おやき」の知名度はいまひとつでした。
今でこそ、「おやきって信州でしょう?」と答えてくださる人が増えましたが、以前はこれほどの知名度はありませんでした。
そこで、われらにミッションが下されました。
信州の「おやき」について徹底的に調査するウェブサイトを開設せよ、と。
そして、当『信州おやき協議会ウェブサイト』の前段階となる『信州おやき調査隊』というウェブサイトを2002年に開設し、おやきについてのアンケート調査を実施したり、口コミを集めるなどの調査を開始しました。
このときのアンケート結果については別ページにてご紹介しています。
おやきの歴史を調査しました!
長野県地方の最も古いそばの栽培の痕跡が縄文時代の遺跡から見つかりました。おやきの歴史もそばと同じように縄文時代からあったのではないかといわれています。
その信州おやきのルーツとされているのが長野県上水内郡・西山地方です。現在の小川村から中条村、信州新町、長野市七二会、芋井、戸隠、鬼無里あたりまで含まれることもあります。この周辺は昔から有数の畑作地帯であり、粉ものの料理が盛んで、昔ながらのおやきの伝統が残っていました。囲炉裏の灰の中で、おやきを焼くのが、西山地方の流儀です。
また、ひと口に信州おやきといっても、信州は広大ですから、地域によってそれぞれの歴史があります。
善光寺平では、蒸かす形式、または焼いて蒸かす形式のものが多く、特に丸なすのおやきが伝統です。
信州の北の果て、栄村では、米粉でつくったおやきがあり、これは「あんぼ」と呼ばれています。
安曇野地方は、西山と同じく灰焼きおやき。
東の上田方面では、「ふかしまんじゅう」形式のおやき。
さらに東の南佐久では「柏っ葉焼餅」という柏の葉っぱでくるんで焼くもの。
山梨県に近い川上村では「はりこしまんじゅう」というそば粉を主原料にしたものがあります。
信州の中でも、なぜか、諏訪地方には、おやき文化がなく、さらに南下して伊那地方には、米の粉でつくる「えびすこおやき」。飯田方面では、薄焼き煎餅のようなものをおやきと呼んでいます。